第23回東京国際ブックフェア開催
“本”の魅力は進化してる!
9月23日(金)~25日(日)、第23回東京国際ブックフェアが東京ビッグサイト西展示棟(東京都江東区)で開催された。(主催:東京国際ブックフェア実行委員会・リードエグジビションジャパン株式会社)
昨年までの7月開催にかわって今年は9月開催となった。また、昨年まで「国際電子出版EXPO」と併催していたが今年は、「東京国際ブックフェア」単独開催。
さらに、これまでの書籍の受発注、版権取引などの商談や読者への直接販売を行う日本最大の「本」の見本市というコンセプトが、今年は「読者向けイベント」と変更された。
23回目となった今年、世界20か国470社が出展し、約4万人が来場した。
面白かったブースなどを紹介します。

子どもの遊び場
○こども向けの本など
児童書共同ブースでは、31の出版社の本が紹介されていた他、2割引きで販売するコーナーも。多くのお客さんでにぎわっていた。
「こどもの遊び場」では、多世代あそび、遊びながら防災を学ぶ防災ワークショップ、まちあそびなどを紹介していた。

ペーパークラフトの体験コーナー
ペーパークラフトの体験コーナー(小学館)では、親子がティラノサウルス作りを楽しんだ。本を読むだけでなく、体験することにつながる書籍をアピールしていた。
個人で自費で出展していた「すぷうんおばちゃん」こと飯塚さん(写真)。教職を辞めて、現在は「和式トイレの使い方」「そうきんの使い方」「ほうきの使い方」などの紙芝居を、幼稚園、保育園の先生のために手作りで制作し、指導法を伝えている。ブースでは、自作の紙芝居を紹介していた。

個人で自費で出展していた「すぷうんおばちゃん」
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○電子書籍、新しい技術の紹介
電子書籍の老舗、(株)ボイジャー、(株)平河工業社のブースの他、スターティアラボ(株)などが出展していた。すでに電子書籍は珍しくないため、派手なブースはないものの電子書籍関係のセミナーには大勢の人が参加していた。電子書籍を作りたい人は多いようだ。

新しい技術などを紹介していたスタッフ
スターティアラボ(株)では、新しい著者を発掘して電子書籍の制作を行っている。
また、同社ではAR(Augmented Reality)コンテンツ制作サービスを行っている。ARとは、ポケモンGOにも使われている技術。
例えば、誌面上の動物写真にスマホのカメラをかざすと、その動物の動画が立ち上がる。文字と写真だけでは伝えられない音や動画の情報を紹介できるというもの。本に新しい価値を加える技術だ。(写真左からスターティアラボの光さんと、南島さん)
その他、紙の本と電子書籍も販売しているインターネット上の書店「honto」、スマホのLINEアプリを使って、書店の店頭でコミック電子版が立ち読みできるシステムなども紹介されていた。
○紙本ならではの美しい本

美しい装幀の本がいっぱい
第50回造本装幀コンクールのコーナーでは、さまざまな造本装幀の本が並んでいた。
美しい画集や写真集、立派な表紙の本がいっぱい。質感のある飾っておきたいような本だ。
その他、青幻社のブースでは、ぱらぱらマンガや、飛び出す絵本のような、立体的な楽しさのある本も展示されていた。

ぱらぱら回して楽しむ本
○中小の出版社が力を合わせて
書物復権10社の会のコーナーでは、中小の出版社が協力して書籍を展示。みすず書房、法政大学出版局、東京大学出版会などがそれぞれの出版物のよさをアピールしていた。
また、郷土出版パビリオンでは、各地の出版社による地域の文化、歴史などの、地元ならではの書籍を紹介していた。
○東京都図書館のブース
東京都の図書館は、港区にある中央図書館と、多摩図書館の2館。同ブースでは、来年1月29日より現在の立川から西国分寺に移転する多摩図書館の紹介をしていた。新しい多摩図書館は蔵書約200万冊で、オンラインデータベースを利用した司書のサポート、タブレットで雑誌閲覧ができるサービスもある。
ブックフェアを終えて~本の未来にも明るい兆しはある

ペッパー君もお仕事していた
調査会社のブース前では、ロボットのペッパー君が「書籍・雑誌の購読・購買実態調査」を行っていた。胸に置かれたタブレットに表示される質問に答えると、ペッパー君が「そうなんだ」などと応答してくれた。
スタッフがくれた資料によると、全国で15歳以上の男女約3万人に調査した結果、過去1年で書籍や雑誌を購入した人は7割で、3割は買っていないという結果がでたそうだ。意外のような、そうでもないような。この3割の人がなぜ本を買わないのか知りたいところだ。
今年のブックフェアでは、ARやLINEアプリを使ったサービスなど、新しい技術も見られた。
また、紙の本ならではの美しい本や、立体感のある本なども並び、電子書籍との違いをアピールしていた。
以前は、紙本か電子書籍の二者択一のような雰囲気もあったが、今では両方をうまく使って出版を盛り上げようという流れになっている。
さらに、中小の出版社や各地の出版社が協力してブースを出していることも印象的だった。それぞれが別に活動するのではなく、出版界も業者同士のつながりを大切にして、厳しい時代を生き抜こうとしている。
単独では小さな力でも、みんなが集まれば大きなパワーを生み出せるだろう。

本のバーゲンコーナーにはお客さんがいっぱい
出版方法や読書の方法は、時代の変化、技術の変化で変わっていくが、「本」の持つ魅力は不変だし、これからも進化していくに違いない。厳しいと言われ続けている出版業界だが、明るい兆しもあることを感じた。
(「社会教育」サポーターの会“得る”Cafe事務局 いとう啓子)
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