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フィリピンと日本の青少年向け演劇ワークショップ@岐阜県可児市

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ゲームでうちとける

みんなでゲームを楽しむ(クリックで拡大)

 参加したフィリピン人の子どもたちは、ある程度の日本語力はあるが、すらすらと思ったように日本語を話せるわけではない。英語が流暢な子もいるが、英語もそれほど得意でない子もいる。
 言葉が思ったように通じないため、朝日大学の学生は、最初は戸惑いがあったようだ。それでもゲームが始まると、場はすぐに和やかになっていった。

 輪になって両手で誰かを指すゲーム、「7」まで動きと共に数えるゲームなどをやっていく。「あー」と長く言い続けるゲームでは、誰が一番長く言い続けられるかを競った。競い合うことで集中が高まる。

 ゲームひとつひとつは単純で、夢中でゲームを楽しんでいるうちに、初対面の子どもたちを隔てる“壁”はなくなっていった。

合宿所では、協力して夕飯を作った(クリックで拡大)

ファシリテーターも食事しながら交流(クリックで拡大)

重たい物を持ち上げる演技をする(クリックで拡大)

自分を表現すること
 
 ゲームの後は、ジェスチャーのようなワークを行った。べとべとした物を隣の人に渡す演技や、重たいものを持ったふりをして隣の人に渡したり、スカーフを赤ちゃんに見たてて抱いたり。想像しながら動いていった。

 想像力を使って遊んでいくうちに、ひとりひとりのキャラクターが自然と表に出されていく。ちょっと恥ずかし気に動く子、大袈裟に動いて笑いをとる子。それぞれの個性が見えてくる。
 演技という行動は、架空の事柄を演じながらも、それぞれのキャラクターがでる。それぞれの個性が、みんなの前に引き出されていった。

パーソナルな話に突入

 ゲームなどで遊んだ後、さつき教室の子と学生が混ざるように4、5人のグループに分かれた。それぞれが持ってきた思い出の「物」について、グループで話し合った。

思い出の物について話し合う(クリックで拡大)

 写真、帽子、野球のボール、習字の筆、大学で相撲をやっている学生はまわしなど。いろんな物についてそれぞれが思い出を語っていった。「物」を通して、自然とパーソナルな事を話し合っていった。

 例えば、野球の試合で活躍したこと、家族で食事をしたこと、習字のことなど。
 思い出には感情が伴う。彼らはパーソナルな話を共有することで、さらに親近感を深めていった。

思い出を演じる

 続いて、グループの中から思い出話をひとつ決めて、3つのシーンを作る。さらに、3つのシーンをつなげてセリフをつけて思い出物語を作った。

思い出を演じていく(クリックで拡大)

 野球の思い出なら、ピッチャーが投げて、バッターが打ち、勝った後みんなで喜んでいるところを演じるといった具合に。

 言葉が通じないところは、身振り手振りを使い、子どもたちは一緒になって思い出物語を作り、演じていった。今回のワークショップで、一番演劇っぽい内容だった。

難しさが見えたら、すぐに軌道修正

 全体的にはスムーズに事は進んだが、すべてがうまくいったわけではなかった。思い出の物について話していたときのこと。フィリピンの女の子がスマホにある父親の写真を見せると、突然泣きだしたのだ。お父さんは母国にいて、なかなか会えないらしい。すぐに隣にいた同国の男の子がなぐさめて収まったが。

思い出の話を共有する(クリックで拡大)

シャロンさんは「大丈夫よ」と彼女を慰めると、その話を蒸し返さず、自然と先に進めていった。大袈裟にしないで進めていくことが大事なのだろう。

 また、初日の午前中、スチュワートさんが「今怒っていることを1分間で告白しよう」と提案した。

 ところが、みんなの前に出たフィリピンの女の子は、何を話していいのか分からず沈黙してしまう。彼女にとって怒っていることを公言することは、難しかったのだろう。みんなも静まり返ってしまう。

 スチュワートさんは、すぐに「ミステークだったね」といい撤回。かわりに簡単な動きの遊びをやっていた。

合宿所でも夕食後にワークショップは行われた(クリックで拡大)

 いろいろな背景を持つ子どもたちを相手にしているだけに、どんなリアクションがあるのか予想することは難しい。ファシリテーターのふたりは、子どもたちの様子を見ながら見事に軌道修正、その場に合うワークに変えていった。

 その場に応じて柔軟に修正するためには、いろんな引き出しを持っていなければならない。経験と知識、アイデア、すべてを持っていないと対処できないだろう。

 今回のワークショップのコーディネーターを務めた田室寿見子さんは「答えを決めてやる人もいるが、その方法だとうまくいかないです」と語っていた。子どもたちそれぞれが自分の船を漕いでいけるように、流れを見ながら応援していく感じだろうか。

3ページに続く

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