<社会貢献教育オープンシンポジウム>

民から民への資金の流れ10兆円を目指す

 3月18日(土)に、日本ファンドレイジング協会は、「社会貢献教育オープンシンポジウム2017 社会貢献教育の流れを創り出すために」を、芝浦工業大学豊洲キャンパスで開催した。
 同協会は、人々が寄付を通じて社会参加することを目指している。
 公式サイトによると同協会の目指すところは、「『社会のために、何か役に立ちたい』と考える人を『枠』超えて繋ぎ、社会の課題を解決するために、民から民への資金の流れが10兆円生まれる時代を実現します。」とある。

日本ファンドレイジング協会のサイト

ファンドレイザーの養成も

 同協会は、ファンドレイザーの養成も行っている。ファンドレイザーとは、社会課題を解決するために活動しているNPOや団体などと、社会貢献に関心の人をつなぐパイプラインになる存在だ。
 まだ日本ではあまり知られていないが、アメリカを中心に多くの国々で資格制度として存在している。同協会では、海外のファンドレイジング協会と連携して、日本型のファンドレイザー制度を構築している。

社会貢献教育プログラムを開発、ファシリテーター養成も

 同協会では、社会貢献について、楽しみながら考え、体験する教育プログラムを開発している。
 教育プログラムは小学校4年生から大学まで、「社会課題を考える教育プログラム」「寄付教育プログラム」「お金と人生を考える教育プログラム」を組み合わせて行われている。
 また、さまざまな教育プログラムを理解し、学校教育現場で、社会貢献に関するプログラムを提供するのが社会貢献教育ファシリテーターという存在だ。
 同協会では、この社会貢献教育ファシリテーターの養成も行っている。

シンポジウム 地域と学校のつながりを

日本ファンドレイジング協会
パネル・ディスカッションのようす

 基調講演では、アメリカのファンドレイジング協会のV・M・プレッチャーさんが、米国における若者への社会貢献教育の現状などについて事例をまじえながら話した。
 続いて、プレッチャーさんを交えて、高橋良太さん(全国社会福祉協議会)、深尾昌峰さん(全国コミュニティ財団協会)、鵜尾雅隆さん(日本ファンドレイジング協会)がパネル・ディスカッションを開催した。

 深尾さんは「社会の課題と出会い、気づくと寄付につながる。単なる活動じゃなくて、下敷きが必要です。若い人がどういう社会をつくっていくのか、ESDみたいなことが下地になっていくと思う」と語った。
 高橋さんは、「福祉教育をやってきたが、先生は忙しいために難しい。学校教育に結び付けて、学びと社会貢献活動が循環するように、プログラムを学校と一緒に作っていくこと。地域の人に関わっていくことを始めている」とコメントした。

 学校と地域がつながっていくことが課題のひとつだが、社会貢献団体が学校に入ることは難しいのが現状だ。
 NPOとして活動している参加者のひとりは、「学校に入れないので、高校生のサークルを作っている」と話していた。また、傾向として優等生ばかりが参加するため、もっと広がりが欲しいとも話していた。

【事例】
東京学芸大学付属国際中等教育学校、大阪市箕面市など

30万の寄付はどこへ

日本ファンドレイジング協会2
学校や町で行われた事例を発表した

 第2部では、事例発表が行われた。東京学芸大学付属国際中等教育学校(東京都練馬区)では、第6学年(高校3年生)の選択授業「国際A 国際協力と社会貢献」の一環で行われた。

 同講座では、1、社会貢献を知る、2、社会貢献から、現代課題を認識、3、社会貢献の力を認識し、活用!という3つを目的に行われた。講座を通して今後のキャリアと社会貢献の関わり方について考えていった。

 後半では、日本ファンドレイジング協会より30万円の資金提供をうけて、どのNPOに寄付するのか決めていった。
 「子ども」「医療」「動物」の3分野9団体の協力を得て、生徒が実際に寄付先候補団体を訪問してリサーチ。学生たちは将来性、市民性、効果・影響などを考えながら、候補先を考えていった。

 最終的には、生徒たちの意見が分かれ、2つの団体に15万ずつ寄付することになったそうだ。
 その後、寄付先を訪問し、生徒たちの思いを直接伝えた。
 実際に授業を体験した生徒からは、「意思・決定のプロセスがよい社会経験になった」「お金を使う責任感を学んだ」などの意見がでた。
 寄付金が実際にどう使われたかは、今後生徒に報告されるそうだ。

地域通貨を使って「寄付教育」

 大阪府箕面市では、地域通貨「ま~ぶ」を使って寄付教育が行われた。ま~ぶは、NPO法人暮らしづくりネットワーク北芝が運営している。
 同市では、多民族フェスティバル、みのおキューズモールなどのイベントで、ま~ぶハローワークというお仕事体験ゾーンが行われる。これは、多様な仕事を体験するというイベントだが、仕事のひとつとして「ファンドレイザー」を用意した。

 ファンドレイザーを選んだ子どもは、周辺地域で活動しているNPOを取材し、その活動をポスターなどにまとめる。まとめた内容を来場している人に発表して寄付を募る。子どもからは地域通貨ま~ぶを、大人からはお金を受け取る。

 子どもは集めた寄付の1割を報酬として受け取り、残りの額を取材したNPOに渡した。
 この寄付活動により、大人から寄付を集めたことにより自己肯定感が高まるだけでなく、地域で何ができるのか考える機会になり、NPOと出会うことで将来の職業感にも影響を与える機会になったそうだ。
 
 その他、ユネスコスクールの北九州市立鞘ケ谷小学校で、総合学習の時間に行われた寄付教育の事例も紹介された。

社会貢献教育ハンドブック 日本ファンドレイジング協会では、「地域・NPOと取り組む 社会貢献教育ハンドブック」も出版している。
 このハンドブックでは、事例をもとに社会貢献教育プログラムが紹介され、効果や課題などもまとめられている。
本の詳細はこちらへ

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