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捨てられた食料はどこへ? リディラバ・スタディツアーその3

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〇リサイクルされた餌は安いのに、農家が高い餌を買い続けるのはなぜ?

 食品廃棄物からできた飼料を「エコフィード」という。環境にやさしいの「エコ」と餌の「フィード」を合わせた言葉で、公益社団法人中央畜産会が品質を厳しく管理して、エコフィード認証をしている。
日本フードエコロジーセンターでは、食品廃棄物に必要な栄養素を混ぜて、おいしい豚肉ができるような餌を開発した。

 その餌は液状発酵飼料で、液状にすることで製造費が抑えられるだけでなく、ある程度保存もきくそうだ。
 この液体飼料の価格は安く、一般的な飼料の約半分という。

 それでも、多くの農家はリサイクル飼料をなかなか買えないのが現状だ。

 通常、農家はJA(日本農業協同組合)から輸入飼料を購入し、生産した豚肉をJAに買ってもらう仕組みになっている。実は、輸入飼料の値段は高騰して養豚農家を苦しめていて、農家の減少につながっているそうだ。

 しかし、農家が他から安い餌を買うと、JAが豚肉を買い取ってくれなくなるかもしれない、または借金の即時返済を求められるなどの恐れがあるという。安いからといって、農家は簡単にリサイクル飼料を買うわけにはいかない。この辺が、食品リサイクルの非常に難しいところなのだ。

〇餌づくりから豚肉販売へ ループリサイクルとは

 そこで、同社ではループリサイクル(循環型社会)というビジネスモデルを作った。

 事業社から食品廃棄物を受け入れる→豚の餌を作る→契約養豚農家に販売→ブランド肉として大手スーパー等で販売→事業活動で発生した食品廃棄物が日本フードエコロジーセンターへ。このような循環型モデルだ。

 同社の餌で飼育された豚は、現在「優とん」というブランド名で小田急百貨店などで販売されている。
 味がいいということで、リピーター率の高い商品となっているそうだ。

〇リサイクル問題は、地球環境、移民問題にもつながる

 また、高橋さんは、食品リサイクルに関する新たな問題点も指摘した。実は食品リサイクル問題は移民問題にもつながっているという。

 「発展途上国のマングローブを破壊してエビの養殖をする。熱帯雨林を壊して牧場開拓して、ハンバーガーをたくさん作って中国で売るとか。先進国がそうやって食べ物を作ってその3分の1を捨てている。自然を壊して、そこで食べていける人たちの食べ物を奪っている。

 移民問題は政治や宗教の問題だけじゃなく、食べられないから外に出るという面もあるんです。そのため、今、国連も食品ロスの問題に取り組んでいます」と高橋さんは話した。

 食べ物を捨てるということは、環境破壊や移民問題にまでつながっており、単なる「もったいない」という問題ではない。

注:マングローブ 熱帯や亜熱帯の海岸沿いの海水と淡水が混じりあう場所に生育する植物のこと。

液体飼料をなめてみるリディラバ代表の安部さん。「少しすっぱい味がする」とのこと。

スパゲッティ、パン、麺類などが種類別に置かれていた。クリックで拡大

話し合いの後、発言する参加者。食品ロスなどについて意見を交換した。

〇クレーマーが販売の基準を作っている!

 食品リサイクルの問題は、非常に奥が深く難しい。ひとりひとりが食品ロスを減らすために何ができるのか考えた時、食べ残さない、無駄をなくす以外に何ができるのだろうか。無気力感を感じたりもする。
 そんな気持ちを見透かすように、高橋さんは強く訴えていた。

「消費者ひとりの力は大きいんです。スーパーは、いかに消費者からクレームが来ない商品を並べるかということに苦心している。見栄えが悪いとか、心無い人はちょっとしたことでもクレームをつける。そういう顧客の話を真に受けて、スーパーは店長会議をしているんです。

 もっと、消費者がこれが欲しいということをスーパーに言ってほしいです。意識の高い人ほど言わないで、並んでいる物を買うんです。ここの商品がおいしいと聞いているから売ってほしいとか、店長に言えばそうなっていく。消費者ひとりひとりの意見は大きいです。一部のクレーマーの意見を聞いて、今の変な売り方になっているんじゃないかと思う。実態を知らないと言えないので、消費者も勉強して、勉強したことを具現化してほしいです。」

 クレーマーの偏った意見がまかり通っている。この現状を変えるためには、食品廃棄物やリサイクルについて知り、どんどん意見を発信していくことが求められている。

〇スタディツアー参加者からの意見
 
 レクチャーや見学の後は、質疑応答やグループでの話しあいが行われ、さまざまな意見が出された。
 「ほとんどの人は食品廃棄物のことを良く知らないので、どんどんこの現実を発信していくべき」「企業にもっと要望を出すこと」「日本が抱えている問題が、食べるものを捨てるということに現れている」「ひとりずつが勉強して意見を言うことが大切」「賢い消費者になって伝えていくこと」など。

 活発な意見が交わされ、多くの人が食品廃棄物やリサイクルの現状について発信していくことの大切さを訴えた。
「どんどん発信して、周りの人を巻き込んで、食品ロスの問題を盛り上げることです。そうすれば流れが変わってくると思います。」と高橋さんもエールを送っていた。

 同社では、食品廃棄物や、食品リサイクルについてひとりでも多くの人に伝えるため、ホームページより随時工場見学を受け付けている。
日本フードエコロジーセンターのサイト

〇見学を終えて

 毎日食べる物が、さまざまな問題と複雑に絡み合っていることを知った。食べ物を作る農家、販売するお店、買って食べる人、廃棄された食料を処理する自治体、リサイクルする会社など。多くの人の仕事や生活がその中で循環している。その営みの中から大量に捨てられ、焼却される食料…。
 どうやってその循環を変えられるのだろうか?
 日本フードエコロジーセンターの高橋さんは、それでも明るく前向きな口調で訴えていた。世界的な流れもあり、状況はかなり変化してきていると。
 「ひとりの消費者の力は大きい」という言葉が、頭の中にハンコを押されたように残った。

 工場見学を終えると、すでに夕方だったので帰宅前にスーパーに寄った。いつもなら夕飯にお弁当を買って帰るところだが、並べられたお弁当やおにぎりを手に取る気にはならず。何も買わずに自宅に戻り、冷蔵庫にある食材で夕飯を作ったのだった。
 鼻に残ったすっぱいような匂いが、捨てられた食料の悲哀のように感じられ、食べながら後ろめたさがつきまとった。

(取材・まとめ “得る”Cafe事務局 いとう啓子)

<追記 2017.5.15>

 フランスでは、昨年、大型スーパーに売れ残りの食料廃棄を禁じ、慈善団体への寄付を義務付ける法律が成立した。

 ヨーロッパで始まった残った食料でスープを作って集まるイベント「ディスコスープ」、家庭で使いきれない食材を持ち寄りシェフがおいしい料理に変身させる「サルベージパーティ」などの活動が、日本でも始まっている。
 最近では、飲食店で残った食料を割引で販売するスマホのアプリなどもでてきた。
 けっして悲観することはない!

(取材・まとめ いとう啓子 “得る”Cafe事務局・管理人)

工場は、毎日365日稼働している。お正月や祝日も、食品廃棄物を処理しているのだ。クリックで拡大

高橋さんの話に聞き入る参加者。問題意識を高めていった。

リディラバ集合写真

大学生から中年世代まで12名がスタディツアーに参加した。

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