趣味のバンド活動から地域活動へ

 島根県の西部、日本海に面しているのが浜田市。夢の音村(ねむら)「森の公民館」は、日本海側より車で20分ほど内陸に入った自然に囲まれた山間にある。
夢の音村の中には、宿泊(バンガロー)、キャンプ場、野外ステージ、木の上の小屋(空中ケビン)などがあり、個人宿泊やさまざまな団体の合宿・研修やイベントなどが行われている。

 「森の公民館」という名前がついているが、行政がやっている公民館ではない。
実は、代表の河野文影さんたちが50年ほど前から始めた趣味の音楽活動が、現在の夢の音村「森の公民館」につながっているのだ。
 自発的に始めた演奏活動は徐々に地元の人たちを巻き込み、拠点の夢の音村の建設をきっかけに、地域を盛り上げる本格的な活動へと広がっていった。
 この活動のすべてが、ボランティアというから驚きだ。

自費で独力で作ってきた

 ざっとその軌跡をたどってみると、そもそも河野さんたちが高校生のときに始めたアマチュア・バンド「サウンド・ファイブ」がことの発端だった。
 卒業後、地元でライブ活動を行っていき、地域の人々とのネットワークを形成していった。
その後、音楽で地域を盛り上げようと、森田公一さん、はしだのりひこさんなどの有名ミュージシャンを招聘して地元でコンサートを開催し、好評を博す。
 なんと、東京まで出向いて、直談判してコンサートを実現させたという。

 85年になると、バンドの練習場が欲しいということから、手作りで音楽スタジオを建設。スタジオの周囲に地元の人たちも楽しめる場を作ろうと、キャンプ場やバンガローなども、市民や仲間たちの協力を得て独力で作っていった。

指定管理となって20年、黒字を続ける

 これらの活動が認められ、95年からは国の補助事業が導入され、交流センターなどの本格的な施設が作られた。
 河野さんたちのサウンド・ファイブ夢の音会は、指定管理者となる。このときに、「森の公民館」という名称がつけられ、初代館長には無報酬で森田公一氏に就任してもらった。

 この後も、夢の音会の活動はどんどん広がり、木の上の小屋、バーベキューテラス、ピザ窯などの設備も作った。
 現在では、研修会、発表会、コンサート・ライブ、市民交流サロン、青少年団体活動などさまざまなイベントを開催。親子連れや高齢者だけでなく、集まりにくいと言われる青年世代も引き付けてきた。
 今では「森の公民館」という名前が道路標識に入っているほど。地元を代表する施設になっている。

 特筆すべきは、夢の音村「森の公民館」は開館以来、独立採算で施設運営を行い、ずっと黒字を続けていること。今では年間利用者約6,600人、宿泊者約1,400人を迎える施設となった。現在、スタッフは12名、約200名の応援団ネットワークを持ち、すべての企画を手作りで行っている。

活力ある地域づくりを目指す

 そして、平成28年度には「ゆめのねむら」都市農村交流推進協議会を設立。これまで、河野さんたちは仕事をしながら、ボランティアで活動を続けていたが、少しずつ有償ボランティアに移行している。今後は、法人化を目指している。
 現在、活力ある地域づくりを目指して、地域と連携して民泊、地域の資源・食材などを活用したツーリズム環境の基盤づくりも進めている。

 半世紀にわたって、地元の人たちと共に地域を盛り上げる活動を行ってきた夢の音村「森の公民館」については、「社会教育」誌11月号で詳報を掲載する予定です。

*夢の音村「森の公民館」は、平成27年度オーライ!ニッポン大賞グランプリ 内閣総理大臣賞を受賞している。
詳細はこちらへ
夢の音村「森の公民館」のサイト

(まとめ:“得る”Cafe いとう啓子、写真提供:サウンド・ファイブ夢の音会)

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浜田市金城町は人口約4千人の小さな町だ。クリックで拡大

 

これまで、40回ほどプロのミュージシャンを招いてコンサートを開催した。サウンド・ファイブは、150回を超えるライブを行ってきた。

 

夢の音村の看板
最初に作った夢の音村1号館(スタジオ)

 

交流研修センター

 

空中ケビンは大人気

 

 

 

ピザ窯の他、かまど炊き体験コーナーも作った。
さまざまな市民交流が行われている。
バーベキューテラス
外国人観光客もやってくる

 

道路標識に示された「森の公民館」
バンガロー棟
さまざまな団体が合宿している
地元の食を食べながら交流する