【カテゴリー:シニア】
「モード切り替えと、大人のつきあいが大事です」
こんな内容です
・シニア男性は会社生活からモードを切り替えるのが大変
・男性があすなろ大学に入学する動機とは
・学生が運営するようになる
・あすなろ憲章と三つの心 「調べ学習」をはじめとする自主的な学習文化活動
「過去を問わない」
・知らないことを知る喜びを感じると続けられる
・主義主張が違っても、尊重しあう大人のつきあい
・地域とどのようにつながっていくかが課題

あすなろ生の学習の記録「あすなろ文庫」の前で
あすなろ大学 あすなろ会
(神奈川県座間市)会長
佐々木邦彦さん
あすなろ大学の概要は「あすなろ大学 大学展2017」のレポートへ
会社生活からのモード切り替えが大変
●佐々木さんがあすなろ会に入られたきっかけを教えてください。
「40数年サラリーマンをしていて新宿に通っていたんです。63歳のときに退職して、1年間放電しようと、過去のいろんなものから距離を置いた。1年の間にセカンド・ライフをどうしようか考えていた。そのとき、妻が友達からあすなろ大学のことを聞いてきた。第2の人生の柱になるかもしれないと考えたのが、きっかけでした」
●最初は馴染むのは大変でしたか? 切り替えが難しいと思いますが。
「入学したころは、名を名乗れと先輩に怒られたことがあります。『今年入った佐々木です、こういうことを考えているんですが、どうでしょうか』ぐらいのことを言えということだったと思います。まだモードを切り替えられていなかったんですね。あすなろ大学は年齢じゃなくて、学年なんです。先輩が威張り散らすということはないんですが、なんとなく緩やかな子弟制度みたいなものがあるんです。会社でいう上下とは別の世界。入ってすぐは分からなくて、教えられましたね」
●みなさん、モードを切り替えるのが大変だと思います。少しずつ分かっていく感じなのでしょうか?
「そうですね。例えば1年生が学習内容を発表するとき、先輩がいろいろ指導するんです。1年生の中には「なんで、この歳になって、ああしろこうしろと言われなきゃいけないのと反発して、『どうなんです?』と聞いてきた人もいました。会社の延長線上に立てば、今さら子どもみたいにいろいろ言われたくないと抵抗する気持ちも分かるんですけど。
『いい悪いは別にして、あすなろ大学の先輩後輩はそういう関係なんです。教えてくれてありがとうと思わないとやっていけないと思いますよ。先輩が教えてくれたと思ったほうが、あなたにとって役に立つんじゃないの、そこが耐えられなくなったら、あすなろ大学は苦痛になってしまって、たぶん来られなくなると思いますよ』と答えました。その人は辞めますとは言ってこないので、きちんと分かってくれたと思います」
●切り替えができない人もいますか?
「スイッチを切り替えられない人も、中にはいますね。でも、そういう人はだんだんとはじき出されてしまう。自ら去っていくこともあります。
要は、楽しんで、学ぶということです。俺が俺がという世界じゃないということが、だんだん分かってくるんですね。組織としての目標はないし、利害関係もない。企業では、利益、効率、経済合理性とかを求められる。ここに来たら、そういうことは無縁の話にしないとならないんです」
●もめたりすることはないのですか?
「あまりないですね。そこそこ歳をとってきているので、むきになっている人はいないし、もめごとの原因を作った人はいずらくなりますね」
●少しずつあすなろ大学の空気が分かっていく感じでしょうか。
「3年生とか4年生くらいになると、だんだんみんな分かってくるみたいですね。3年生になると、研修旅行委員会になって旅行の企画運営をやることになっています。70~80名を集めて1泊旅行とか企画するのは大変なんですよね。それを1年かけてやっていくプロセスを経て、ものの見事に結束力が高まって、あすなろ大学への認識が高まっていくんです」
2ページ目に続く…