こんにちは、山木戸です。
第10回目は、「人はある年齢で仕事から引退するというイメージを払拭する」というテーマで考えます。
アーネスト・ヘミングウェイの小説「老人と海」に描かれた『老人』の漁師は、歳をとっても変わらぬ「役割」を持ち続けています。
『海』は、生きがいを感じられて自分の役割を果たすことのできる「居場所」です。(下図を参照)
アメリカの小説家・詩人、「老人と海」が大きく評価され54歳でノーベル文学賞受賞
【小説「老人と海」のあらすじ】
老人は、すでに年老いた漁師になっていた。それでも、持てる力を振り絞り、すべての知恵と技を駆使し、巨大メカジキとの戦いに挑んでいく。
老人を突き動かすのは、「人は敗北するようには創られていない」という強い思いと、漁への強い自信だった。彼は、見たこともないような巨大な魚に命がけでくらいつき、ついに捕らえることに成功する。
そして、漁を終えて帰路につくが…。
ここで描かれている老いた漁師である『老人』は、自己イメージを確立できた、人生を肯定できる存在で、自然体でいられる居場所を持っている人物です。
『海』は、漁師として納得できる役割を果たすことのできる場所であると共に、生きがいを実感できる居場所です。
「老人と海」の老いた主人公の生き方と、定年後の人生を重ね合わせて考えていきます。
●自分ひとりで歩く人生へと、目標を切り替える
いったん立ち止まって、自分にとって何が一番大事なのかを問いかけて、それに向かって行動を起こします。
定年後は、組織から離れて独り立ちを始めるために、自分ひとりで歩く人生へと、目標を切り替えます。
●ネットワークを築く
定年後は、その後の働き方と暮らし方を通じて、自らのよりどころになる居場所を築きます。
経験を重ねて、思い入れを込めた居場所を元に、自らのネットワークを築いていきます。
●環境は変化する
計画を立てても、環境は変化します。計画を立てるのはある程度にして、実行することに力を注ぐべきです。
得意とする仕事であっても、継続する機会があってこそ、職人的な感覚が研ぎ澄まされます。
細かい変化にも気づくことができ、社会の要請や他人のニーズに結びつけることができます。
●生涯にわたり成熟と発達は続く
主人公の生き方を通して、人間はある年齢で仕事から引退するというイメージを払拭して、人間は生涯にわたり人格は成熟し、知性は発達を続けるものだと考えます。
●歳をとってからの過ごし方こそが重要
人生は片道切符、後戻りできません。
過去にこだわらず、今を精一杯生きることに力を注ぎます。
現役を退いた後は、身の丈にあった目標を持ち、若いころよりももっと「自分らしく」生きようと、努力するべきだと感じます。
連載「定年後もハッピーになれる」の第1回から第10回目まで、「中年期に感じる定年後にまつわる暮らし方・働き方の不安にどう対処して行くべきか」を考えました。
次回からは、「中年期に感じる定年後のお金にまつわる不安に、どう対処して行くべきか」を考えていきます。
山木戸 啓治 Keiji Yamakido
<プロフィール>
上級生涯生活設計コンサルタント
一級ファイナンシャル・プランニング技能士
CFP(日本FP協会)
社団法人 日本証券アナリスト協会検定会員
平成15年より、ファイナンシャル・プランナーに就任し、生涯学習センター・公民館・大学の公開講座などで生涯経済設計の講師を務め、平成16年度・17年度には福山大学経済学部客員教授を兼務すると共に、企業の退職準備ライフプランセミナー、及び地方公務員の退職準備・生活充実ライフプランセミナーなどで講演活動を行う。
平成22年7月に定年退職し、その後も継続してライフプランセミナーの講師として活動中。
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