第13回「お金の不安」編 その3「せつやく」“年金”

 生涯経済プランを読み解く3つの視点のうち、「せつやく」するという視点について考えます。(下図を参照)

  マイホームに次いで人生で2番目に高い買物といわれる保険を見直すことで、無駄な保険料をせつやくします。

 あなたが収入の担い手である場合、万が一に備えて、残された配偶者の生活費や子供の教育費のために、生命保険による死亡保障を確保する必要があります。

 生命保険の死亡保障は、いくら必要なのか?

 「遺族にとって必要額」から、「遺族の収入見込み額」を差し引いた額が、「生命保険の必要保証額」になります。(下図を参照)

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 生命保険の必要保障額を算出する場合、まずは遺族年金によってどの程度までカバーされるのか知ることが大切です。

 次に貯蓄。それでも足りない分を生命保険でカバーする、という順序で考えます。

過大になりがちな保険料をせつやくしましょう。

(下図を参照)

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死亡保障は遺族年金を基本に考えます

 あなたが亡くなった時、「遺族年金」はいったいいくら家族に支払われるのでしょうか?

 「遺族年金」は、国民年金、厚生年金の加入者、または受給資格期間が25年以上あった方が亡くなったときに、その方によって生計を維持されていた遺族が受けとります。
 (受給資格期間とは、年金を受けるために必要な保険料を納めた期間や加入者であった期間のことです。)

 「遺族年金」は、家族構成や国民年金、厚生年金の加入期間などで変わります。

子供の有無、妻の年齢で変わる遺族年金

 それでは、具体的に事例を見ながら考えてみます。

 もしあなたが50歳で子供(18歳未満)1人だとしたら、家族が受け取るのは次のような遺族年金になります。

 子供がいる場合は、遺族基礎年金を受け取ります。また、子の加算は子供の人数で金額が変わります。

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注:18歳未満:18歳になって最初の3月31日が到来するまで。

 56歳で子供は独立して、妻(53歳)だけの場合は次のようになります。

 子供がいない場合は「中高齢寡婦加算」が加算されます。妻が本人の老齢基礎年金を受け取れる65歳になると、「中高齢寡婦加算」はなくなります。

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故人の老齢厚生年金の4分の3

 計算図にある「遺族厚生年金」は、サラリーマンにとって重要なところです。
 
 「遺族厚生年金」は、会社員などで厚生年金に加入している人が在職中に死亡した時、または「老齢厚生年金」を受給している人で25年以上の受給資格期間がある方が死亡したとき、死亡した人に生計を維持されていた遺族に支払われます。

 支払われる額は、故人の老齢厚生年金の4分の3です。
 金額は、国民年金、厚生年金の加入期間などで変わります。つまり、加入期間が増えると金額も増えます。

 事例2は、34年間の平均年収800万円のケースです。
 56歳時点の老齢厚生年金の受給額は年間約1,540,000円。その4分の3は「年間約1,155,000万円」になります。

生命保険は、必要な保険額に

 このように日本の年金システムは、とても煩雑です。
そのため必要以上の保険額を設定しがちですが、もらえる遺族年金を考慮して、生命保険額を考えることが大切です。

 必要以上の保険に契約していることはお金の無駄遣いになります。

 無駄な保険料はただの“浪費”ですが、無駄な保険料を将来のための貯蓄に回せば、それは確実な資産になります。

 生命保険による保障額を適正にすることによって、無駄のない生涯経済設計を描くことができます。

受け取れる年金見込み額をシュミレーションしてみよう!

 日本年金機構の「ねんきんネット」は、これまでの個人の年金記録を検索して、そして将来受け取る年金の見込み額をシュミレーションできるサイトです。

 個人の基礎年金番号に基づいてIDを取得してマイページを作成して、シュミレーションしてみましょう。

ねんきんネットはこちらへ

 次回も、【せつやく】するという視点で保険の見直しについて解説します。

(脚注)本稿はわかりやすさを重視しているため、厳密性に欠ける部分があります。詳しくは、日本年金機構ホームページを参照して下さい。


山木戸 啓治  Keiji Yamakido

<プロフィール>
上級生涯生活設計コンサルタント
一級ファイナンシャル・プランニング技能士
CFP(日本FP協会)
社団法人 日本証券アナリスト協会検定会員

平成15年より、ファイナンシャル・プランナーに就任し、生涯学習センター・公民館・大学の公開講座などで生涯経済設計の講師を務め、平成16年度・17年度には福山大学経済学部客員教授を兼務すると共に、企業の退職準備ライフプランセミナー、及び地方公務員の退職準備・生活充実ライフプランセミナーなどで講演活動を行う。
平成22年7月に定年退職し、その後も継続してライフプランセミナーの講師として活動中。

山木戸先生へのお問い合わせは、こちらへ

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