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“みつばち”でコミュニティをつくる サラリーマンでマンション養蜂家 児島秀樹さん@東京調布市

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グッドモーニング仙川!プロジェクト 児島秀樹さん

●ざっくりいうと…
・ひとりで駅前の清掃活動を開始
・マンション&街の緑化クラブ
・マンション養蜂の難しさ
・清掃、緑化、養蜂でコミュニティづくり
・親子向けの「みつばちの学校」
・男性シニアの地域デビューに養蜂はぴったり


児島秀樹 さん
静岡県湖西市出身、1972年生まれ、45歳
グッドモーニング仙川!プロジェクト代表
仙川みつばちプロジェクト&深大みつばちプロジェクト主宰
仙川町・緑ヶ丘・若葉町親和会(自治会)15部部長、緑ヶ丘・仙川まちづくり協議会役員
ちょうふチャリティーウォーク実行委員会 副実行委員長、調布まちかつフェスタ実行委員(2018年度)


●みつばちとの出会い

雹(ひょう)が降った日に

 2014年6月24日、東京都調布市の仙川町には大量の“雹(ひょう)”が降った。局地的に雹が積もったため街はパニックになり、全国的にも報道されるニュースだった。

雹(ひょう)かきをしながら感じるものがあった

 実は、この“雹”の降った日から、児島さんの人生は大きく変わっていった。 
 建築関係の会社に務める児島さんは、仙川に移り住んで10年、職場と自宅を行き来する普通のサラリーマンだった。

 駅から徒歩1分のところにあるマンションに住んでいた児島さんにとって、街との関わりは自宅と駅の間の約1分間しかなかった。街との関わりはなく、当然ながら地域に友達もいなかった。

 その日、児島さんは何も知らずに会社から戻ると、街中に雹が大量に積もっていた。騒然とする中で、自然とマンションのエントランス付近などの雹かき作業に参加した。

「そのときに、自分も少しは街の役に立つんだと感じたんです。街の人と一緒にやってみたことで、何かひらめくものがあった。」

 雹かきをきっかけに、ふと駅前周辺を見てみるとゴミが多いことに気づく。そして、児島さんは翌月からひとりでゴミ拾いを始めた。

「街の中で何かしたいと思いながらも、何もできない自分がいたけれど、ゴミ拾いくらいだったらできるよねと思った。ひとりでやるのは恥ずかしいけど、まずはやってみようということで始めたんです」

駅周辺で清掃作業を行っていった(写真提供:グッドモーニング仙川!プロジェクト)

 朝5時半に駅前に行って清掃活動。自宅に戻って7時すぎに会社へ向かう日々が続いた。
 約3か月、ひとりでゴミ拾いを続けた後に、同じマンションに住む住民も誘ってみた。『仙川の街、ゴミがけっこう多いんです。私たちの街、こんなことでいいんでしょうか』と手紙に書いてポストに入れたという。

 「ゴミ拾いを始めたら、街のことがよく見えるようになりだんだん楽しくなってきた。ひとりでやっているのはもったいないと思ったので、マンションの人に手紙を書いたら、何人か一緒にやってくれたんです」

 児島さんの住んでいるマンションはコーポラティブハウス(注)のため、最初から緩やかなコミュニティは存在していた。顔見知りではあったことも功を奏し、仲間を増やしていった。
 この地域活動が「グッドモーニング仙川!プロジェクト」へとつながっていった。

*コーポラティブハウス
 入居希望者が集まり組合を結成し、その組合が事業主となって、土地取得から設計者や建設業者の手配まで、建設行為の全てを行う集合住宅。

緑化クラブを始める
 
 清掃活動をしていると、自宅マンションの1階にある庭の緑化問題が起きる。建設時のデザイン計画からお願いしていた造園業者だったが、費用面で理事会との折り合いが付かず、契約問題に発展していた。

緑化活動の様子(写真提供:グッドモーニング仙川!プロジェクト)

 マンション内にガーデニングに興味のある人がいたことから、児島さんはマンション住民の有志と共に緑化クラブを作る。単に造園業者に管理を委託するという関係ではなく、プロのガーデナーに教えてもらいながら、住民が参加する庭つくりをしていった。

 清掃活動もしていた児島さんは、駅周辺の緑化も気になっていた。ゴミ拾いだけでは、何か足りない。そして街に花がないことに気づいた。そこで緑化クラブの人たちに、駅周辺に花を植える活動を提案。みんなで駅前や公園などに、花を植える活動を始めた。

 そんなとき、児島さんはみつばちと出会う。
「クイーンズ伊勢丹前の公園の花壇に、イベントでラベンダーを植えたんです。そしたら、みつばちが飛んできて、蜜を吸っていた。すごいなと思った。そこにひとつの生態系をみた。感動的な瞬間だったんです」

 ちょうど養蜂を趣味でやっている知り合いがいたこともあり、巣箱見学会に参加したり、約1年の準備期間を経て、児島さんは2016年からマンション養蜂を始めることになる。

●マンション養蜂の難しさ

 まずは、養蜂のための場所を探したが、仙川周辺にできる場所はなかった。そんなとき、児島さんはマンションの1階にあるごみ置き場倉庫の屋上でやることを思いつく。

ゴミ置き場倉庫の上で養蜂をはじめる(写真提供:グッドモーニング仙川!プロジェクト)

 ビル養蜂はけっこうあるそうだが、国内ではマンション養蜂はほとんど例がないそうだ。

 実はマンション養蜂はとても難しい。養蜂技術の問題ではなく、マンション住民の合意を得なければならないからだ。
 当然ながら、ハチに刺されるなどの危険性を憂慮して拒否されるケースは多い。
 児島さんはマンションの理事会メンバーだったことから、まずは理事会で相談してみると「みつばちなら特に問題はないのでは」という反応だったという。
 
 後日、通常の状態では、みつばちはむやみに人を刺さないことなど、養蜂を見学したときのことをレポートにまとめた。

 そして、「まずは半年間、仙川がはちみつの採れる街なのか実験させてください」と申し出た。
 提出書類には『全くはちみつが採れない街ならばやめる。半年の間に何か問題が発生したらやめる。すべての責任は児島がとる』と記載したそうだ。

 そして、22世帯を一軒一軒回り丁寧に説明していった。
「このような形で実験をしたいのですが、何か問題がありますかと居住者全員にお伺いを立てた。みつばちに関しては、心理的な壁があるかもしれないが、具体的にリスクを回避するための理由付けをひとつひとつ積み重ねた上で話しを進めた。賛成でなくてもいい、明確な反対をされなければ何とかできるのではないか。結果として、明確な反対をする人はいなかった。仮に問題があったとしても、夢と希望で乗り越えられると信じて、私からは是非この街で採れたはちみつを食べてくださいという、ささやかな夢を提案しました」

ゴミ置き場の上に置かれた巣箱

 半年後に管理組合総会にて、みつばちの巣箱を敷地内に設置することが議案承認された。

 このようにして、児島さんは仕事で培ってきたスキルと熱意で、住民の合意形成を得ることができた。ただスキルがあったからできた訳ではない。これまでの活動が理解され、人間関係ができていたからできたのだった。

「最初から、『みつばちをやりたい』と話をしていたら駄目だったでしょう」

 そして、2016年の春からマンション養蜂を始め、約1か月後の5月には住民を集めて「はちみつパーティ」を開催。こうして『仙川みつばちプロジェクト』は軌道に乗った。

「マンション養蜂は合意形成が一番難しいです。ハチについては教えてもらえるけど、合意形成の方法は誰も教えてくれない」と児島さんは話していた。

2ページ目に続く…

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