“みつばち”でコミュニティをつくる サラリーマンでマンション養蜂家 児島秀樹さん@東京調布市

●養蜂の魅力

 実は虫は嫌いだったという児島さんだが、養蜂を始めると、どんどんはまっていったという。

「地方から東京に出てきて、就学就職して家族を持ち、住宅購入など何の疑問もなく人生を歩んできたが、ふと身の回りを見渡すと自分の住んでいる街のことを知らないし、街の人はみな他人という状態だった。

 東京に住んでいる意味は仕事のためだけなのか。このまま10年、20年経っても、何もしなければ何も変わらない。自分がこの街に住んでいる意味は何なのか。自分の人生どうなるんだろうみたいな、悶々としたところがあった。そんなとき、花を植えてみつばちが来て、はちみつが採れる。そんな街ってなんかいいよねと、自分の中でひらめいたんです。そこからです。

 いろいろ勉強していくと、女王バチがいて、みつばちは女性社会で、働き蜂はすべて雌。9割は女性なんです。雄は花蜜を採らず仕事はせず、交尾のみが主な役割。そんな社会があるんだと思った。頭の固くなったサラリーマンには、それが面白すぎたんです。雄は1回の交尾で死んでしまうし、交尾しないで秋になると巣から追い出されるそうです。どっちにしても死んでしまう。あ~、人間でよかったと思いました。そして働きバチの寿命は1か月であるのに対して、女王バチはローヤルゼリーを食べてるから4年(人生が40倍)とか、知れば知るほど、いろいろな広がりがあって面白いんです」

●親子向けの「みつばちの学校」

みつばちの学校の様子

 マンション養蜂を始めた児島さんは、2016年8月に、子ども向けのイベント「仙川みつばちの学校(巣箱見学、みつばちの生態講義)」を行い、以後、小学校や公民館などで「みつばちの学校」を行っている。

 このイベントは、みつばちの役割、生態などを知り、環境や自然について考えていく内容となっている。
 
 2018年8月、東部公民館(東京都調布市)で開催された「みつばちの学校」を“得る”Cafeでは取材している。
レポートはこちらへ

 このような清掃活動、街の緑化、養蜂の活動は地域やマンションの住民を巻き込み、それまでにはなかったコミュニティが作られていった。
「マンションが街に開かれ、つながっていることを感じました」と児島さんは話してくれた。

●コミュニティ養蜂スクールを始める

コミュニティ養蜂スクールの受講生写真提供:グッドモーニング仙川!プロジェクト)

 さらに、2018年3月からは、地域の養蜂家を養成するためのコミュニティ養蜂スクールをスタートさせた。仙川だけでなく、深大寺元町にも場所を借りて、2か所で養蜂のノウハウを教えている。今年は、2か所で10名が学んでいる。

「はちみつの採れる街を作りましょうがコンセプト。そのためには地域の養蜂家を増やして、子どもたちにも教えて、みつばちに理解のある街になれば、はちみつの採れる街が完成する。その仕組みを作っているんです。みつばちが暮らす街は人も住みやすいはずです」

 さらに、この養蜂スクールは、男性シニアの地域デビューのきっかけにもなると強調する。

「ハチのことを知っている人は意外と少ない。でも、みつばちのことを勉強したら、ハチの先生になれる。これは面白いと思った。今回のコミュニティ養蜂スクールは、ハチの先生になりましょうというのもコンセプトのひとつです。1年後には、ハチの先生になって卒業して、みつばちの学校を子どもたちにやってほしいなと思っています。
 みつばちをツールに、男性シニアが地域デビューできるんです。

 男の人にとって、みつばちのことは、子どもに戻ったような感覚もあってけっこうおもしろいと思う。地域で子どもたちに教えるツールになるというのも、すごくいいなと思っている。何より、はちみつが採れるんです。収穫する喜びもある。

 シニアの地域デビューで、地域の子どもたち向けの「みつばちの学校」とかどんどん広がっていくんです。子どもたちが変わると親も変わっていく。そうすると、シニア、子ども、親とつながっていくと思います」

 すでに、受講生がハチの先生となり、「みつばちの学校」を開催したそうだ。

●夢は~
 
 清掃、緑化クラブ、そして養蜂、スクールの活動を、サラリーマンとして働きながら続けている児島さん。今は、30名ほどの仲間たちと活動している。

 全体イベントとしての仙川駅周辺の清掃活動は月に1回。養蜂は毎週末と、特にみつばちシーズンの3月~10月は多忙な日々が続く。

みつばち映画祭を開催した

 みつばちの学校の他、今年7月末には映画「みつばちと地球とわたし」という映画上映会も開催。クラウドファンディングで費用を集めて行った。

 現在「仙川みつばちプロジェクト」の収益は、はちみつの売り上げのみということで、活動費はかなり厳しいという。今後はまとまった助成金なども考えたいと話していた。

 それでも今後の夢を聞くと、児島さんは次のように話してくれた。
「まずは、調布の街でこの活動(清掃、緑化、養蜂)を続けることで、多くの人に参加してもらい緩やかなコミュニティが生まれ、街に愛着を持ってもらえるようになること。そして、はちみつの採れる街が出来上がって、私たちの暮らしや住環境も良くなっていくこと。2020年には、調布で採れたはちみつでレモネードを作って、オリンピック調布会場で世界中の人に調布の味を楽しんでもらいたいなと考えています。

 さらには、こんな学校のことも。
「バリ島にグリーンスクール(注)というのがあります。いい環境の中で学ばせて、世界の次世代のリーダーをつくるという、環境教育を中心にしたリーダーを養成する学校がある。世界から子どもたちが集まって1年とか2年とか、学んでいるんです。それの調布でやる“みつばち版”みたいなのができたらいいなと思っています。そういう学校は日本にはないから、あったらおもしろいなと思います」

 雹かきをした日から4年。児島さんの人生はまったく違う彩りを見せて、今、新たな夢を見据えている。

*グリーンスクール(インドネシア、バリ島)
持続可能な世界の未来のリーダーを育てる最先端のエコスクール

(取材・まとめ “得る”Cafeサイト管理人 いとう啓子)

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