開催報告:講演・定年後、オリーブ栽培&レストラン経営で都市農村交流 @熊本県荒尾市

●ざっくりいうと…
・国内産のオリーブの需要高まる
・ビジネスの3つの効果
 1【耕作放棄地の解消】
 2【オリーブの産地としての地域ブランドの構築】
 3【観光の拠点】
・ワイナリーよりオリーブ農家
・安定した経営のためにレストランも


 (一財)都市農山漁村交流活性化機構は、第6回農山漁村コミュニティビジネスセミナー「夢見た農村風景を耕作放棄地に実現!」を12月5日(水)に開催した。

 (株)オリーブファクトリー代表の中川孝さんは、有明湾に面する熊本県北部の荒尾市に帰郷し、荒廃した農地を開墾しオリーブの生産・加工・販売、さらに農家レストランを開業した。都市農村交流を実践している6次産業化の取り組みを紹介した。


国内産のオリーブの需要高まる

オリーブで6次産業に取り組む中川さん

 健康志向の高まりや、栽培方法が比較的簡単な作物として、オリーブは良質な国内産への需要も高まっています。
 耕作放棄地対策や農業以外の職種から新規参入など、日本各地でオリーブ栽培や加工品開発の動きが広がっていると言います。

 第2の人生がなぜ農業なのか、農業を行うのになぜオリーブだったのか。また、オリーブ生産だけでなく、オリーブ油の搾油からオリーブ中心の料理を提供するレストランを経営することをはじめから目指していたのはなぜなのか、緻密な戦略を物語のように中川さんが語りました。セミナーのさわりを紹介します。

ビジネスの3つの効果

 中川さんのこのビジネス展開について、荒尾市の担当者は3つの効果を期待している。

1点目【耕作放棄地の解消】

 オリーブ生産は食文化の多様性や健康増進など社会情勢に即した商品開発が可能であり、耕作放棄地をオリーブ農園に転換する農家へのビジネスモデルとして大いに期待している。

 特に、中川氏が担っている搾油等の栽培後の加工環境は、荒尾農業への貢献度は高い。
 さらに近年需要の増えてきたオリーブオイルについて、オリーブオイルソムリエである中川氏による商品開発は、荒尾農業の6次産業化にとても重要な活動だ。

  • 放りぱなしだと数年でこんな耕作放棄地に

2点目【オリーブの産地としての地域ブランドの構築】

 市内オリーブ生産者とのネットワーク構築によるブランド力の形成とともに、知名度の向上を図ることで、オリーブの産地としての荒尾市の売り出し、体験型観光農園として荒尾市のオリーブを紹介できる中川観光農園に大きな期待を寄せている。

 収量が安定すれば自家製のオリーブオイルなども販売する予定であり、国産オリーブオイルとして大きな強みのある地域特産ブランドとして売り出すことが出来る。

3点目【観光の拠点】

 オリーブの効能面を中心とした体験型農園を作り、同市内外の来訪者の増加とともに、多様な顧客ニーズへの情報提供や商品の提供を図る。

 荒尾市の万田坑やグリーンランド等の観光資源と併せて荒尾市内を滞留して観光できるよう街作りを行っていく上で、国内でも珍しい広大な中川オリーブ園と園内で採れたオリーブや地場産の食材を楽しめるという利点は、荒尾市の今後の街作りには欠かせない存在になっている。

ワイナリーよりオリーブ農家

 まず驚いたのは、オリーブは世界中に2000から3000種類あり、どのような土地には、何が合うといった研究者がいないという事実。

 そこで、中川さんは土地の環境、気候により適したオリーブ種を知るために、自ら現在も19種類を育成している。

 また、育成にかかる諸問題を解決するために、土壌の問題、水はけの問題、虫の問題など適地適作を行うために、国内の専門家を訪ね意見を聞くだけでなく、イタリア、スペインなどのオリーブ農家を訪ねて実際の農家がどのように育成し搾油をしているかも調査。育成と搾油の参考にしています。

 なぜ、オリーブ栽培だったのか、農業の素人だった中川さんは、イタリア出張の折に見たブドウ農園、オリーブ農園の風景を思い描いていました。

 実家のある荒尾市の農地が耕作放棄地化するなか、何かできないと考えた時に、ワイナリーを思いついた。

 しかし、ワインは醸造の技術、酒税免許を得る手続き、さらに投資の問題からワイナリーは素人からの参入には、技術も時間もお金がかかる。
 対してオリーブは搾油をすれば商品化が可能なので、参入しやすいと判断したそうです。

安定した経営のためにレストランも

 とはいってもオリーブオイルソムリエの資格を取ったり、県の農業大学校で土壌の勉強したり、役立つ知識を得ていった。また、国内先進地を訪ねて経営の手法を聞いた。

 そして、搾油しオリーブ油を販売するだけでは経営は難しいが、農家レストランを経営することで自家商品の現金化も可能であることを知り、当初から農家レストランの経営を考えていたそうです。

 しかし、農家レストランはお客がつかないと成り立たないので、30代から60代の女性をターゲットとしたメニューと、オリーブ畑が景観として見える店づくりをしました。

 中川さん自身、料理学校に通い料理の勉強もしています。中川さんは、繁盛(わかりにくい場所にあるレストランに来てもらう集客)するためには、インスタ映えが現代の重要なキーワードとなっていると考えました。

 レストランの食事はインスタ映えする料理、併せて風景作りも工夫したそうです。
 もちろん味にもこだわり、一番人気のモンスターサラダは、いつまでたっても冷たいサラダが食べられるよう、ホウロウの器に保冷剤を仕込んでいます。
 こうした努力とセンスの積み重ねが、年間1万人という利用者を生んでいます。

★Ristorante 中川オリーブ農園 – 〇megane(まるめがね)-
住所:熊本県荒尾市牛水2029 電話:0968-57-7606
営業時間:11:30~15:00(ランチ)15:00~17:00(カフェ)
定休日:月曜日 (※祝日の場合は翌日)

<中川孝さんのプロフィール>

 荒尾市の農家出身。家電メーカーに勤務していた40代のとき海外出張で見たワイナリーとなだらかに続くぶどう畑を見て「いつかこんな風景を故郷に自分の手でつくりたい」と夢を抱く。
 58歳の時、実家に戻り、故郷の荒廃した風景を見て何とかしたいという思いに駆られ、40代で見たあのワイナリーの景色が甦る。
 そして、オリーブ畑を作ろうと耕作放棄地を購入。オリーブの木を植え始める。少しずつ植えて、今では1,000本。
 2016年から実の収穫を始めてオイルを搾油。2017年7月に、Ristorante中川オリーブ農園Omegane(まるめがね)」をオープンさせた。
 妻はレストランを手伝い、畑では野菜を育てている。オリーブ畑が一面に広がる最高のロケーションで、レストランを営みながら、オリーブの商品開発の夢を持ちながら夫婦で暮らし、地域の人々と交流している。

●中川さんの活動経緯メモ
・1952年荒尾市生まれ。
・2011年4月 58歳の時に荒尾市に帰郷し農地購入と開墾をスタート。
・2013年 定年退職を機に本格的にオリーブの植栽を始める。
・2016年 オリーブの実の収穫がはじまりオイルを絞るようになる。
・2017年7月 「Ristorante 中川オリーブ農園 -○megane-」を開店。
  地元産の野菜とオリーブオイルを使用した料理を提供し、熊本県内外から集客を行っている。
・2017年12月23日放送の「人生の楽園(テレビ朝日系列)」に登場。
・2018年3月 第15回オーライ!ニッポン大賞ライフスタイル賞受賞。


第6回農山漁村コミュニティビジネスセミナー
故郷への熱い想いが耕作放棄地を宝に変えた!
日時 2018年12月5日(水) 13:00~16:30
会場 (一財)都市農山漁村交流活性化機構 会議室
   (東京都千代田区神田東松下町45 神田金子ビル5階)
参加費 2000円

情報&写真提供:(一財)都市農山漁村交流活性化機構

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