第19回 「お金の不安」編 「そなえる」という視点から、その9として「年金で将来にそなえる」ことを考えます。
「そなえる」ためには、公的年金が最も重要
公的年金は、死ぬまで必ずもらえる終身年金です。
どんなに長生きしてもずっと年金給付を受けられます。
たとえ、自分が支払った保険料総額を給付額が上回った場合でも、あなたが生存している限り、公的年金は終身給付を約束していますので、年金給付は止まることはありません。
いわば、日常生活費の最低限度の費用を、死ぬまで期間無制限で払い続けてくれる終身年金です。
”退職後も豊かな生活を送るための資金をいかに捻出するか”という課題に対して、民間金融機関の金融商品を含めて比較しても、最も有利なのは「公的年金」といえます。
年金額を「ねんきん定期便」で確認しよう!
「ねんきん定期便」には、あなたが60歳まで働き続けたときに支給される年金額が記されています。
50歳以上の方の場合は、現在加入している年金制度に60歳まで同じ条件で加入し続けたものと仮定して計算した「老齢年金の見込額」が表示されています。
(下図を参照)
注:50歳未満の方の「ねんきん定期便」には、これまでの加入実績をもとに計算した老齢年金の額が記されています。
日本年金機構ホームページ【あなたの年金 簡単便利な ねんきんネットで】では、
・あなたの年金記録を確認することができます。
・将来の年金見込額を確認することができます。
・電子版「ねんきん定期便」を閲覧することができます。
【あなたの年金 簡単便利な ねんきんネットで】はこちらへ
年金額を増やすふたつの方法
公的年金でもらえる金額を増やす方法が、ふたつあります。
ひとつめは、「厚生年金制度に加入する期間を長くして、年金額を増やす」というアプローチです。
加入する「期間」が年金額を大きく左右するので、60歳以降も厚生年金に加入し続けて働けば、年金額は増えることになります。
できるだけ長く、1カ月でも多く年金保険料を納めることは、年金額を増やす近道です。
●事例
例えば、60歳から65歳まで、月給38万円で働いたとすると、老齢厚生年金額は年間約13万円も増えます。
年金開始を75歳まで繰り下げると2倍に!
ふたつめは、年金を受け取る年齢を遅らせる方法です。
現在、公的年金をもらい始める年齢は、60歳から70歳の範囲で加入者が選ぶことができます。
基準となる65歳よりも前に繰り上げて受け取ろうとすると、年金額は1カ月当たり0.5%ずつ減ってしまいます。
60歳で受給開始すると、基準額から30%減ります。
逆に、後ろに繰り下げて受け取ると、1カ月当たり0.7%ずつ増やすことができます。
70歳まで遅らせることができれば42%増える仕組みです。
現在は70歳開始が上限ですが、国は公的年金の受給開始年齢を75歳まで繰り下げる検討に入ったようです。
毎月の年金額は65歳開始に比べて2倍近くになるようです。
働く高齢者を増やす呼び水にし、『元気な高齢者に社会保障を支える側に回ってもらいたい』という願いが、改正の真の狙いです。
次回は、社会環境の変化にそなえることについて考えます。
山木戸 啓治 Keiji Yamakido
<プロフィール>
上級生涯生活設計コンサルタント
一級ファイナンシャル・プランニング技能士
CFP(日本FP協会)
社団法人 日本証券アナリスト協会検定会員
平成15年より、ファイナンシャル・プランナーに就任し、生涯学習センター・公民館・大学の公開講座などで生涯経済設計の講師を務め、平成16年度・17年度には福山大学経済学部客員教授を兼務すると共に、企業の退職準備ライフプランセミナー、及び地方公務員の退職準備・生活充実ライフプランセミナーなどで講演活動を行う。
平成22年7月に定年退職し、その後も継続してライフプランセミナーの講師として活動中。
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