第21回 「お金の不安」編 その11自助努力のそなえ 

長く働いてそなえる

 誰でも、中年期に入ると「働き方、暮らし方、お金」に関して危機感を感じるものです。

 今後、仕事はどうするか?
 定年後の暮らし方はどうなるか?
 定年後の生活費は大丈夫なのか?

 このような不安や危機感こそ、高齢期への準備を促すエンジンとなります。

 そして、この不安を解消するためには、「長く働く」がとても有効です。
「長く働く」ことは、安定した暮らしにつながります。
 年金をはじめとする社会保険をしっかりと理解した上で、できるかぎり長く働くことを目指しましょう。

 では、定年後も働き続けるためには、どうしたらいいのでしょうか?

 使命感に駆られること、あるいは興味あること、好きなことや得意なことなら、人は長く続けられるものです。

 世間から必要とされる得意分野をかぎりなく伸ばすことが、シニアのキャリア開発の極意です。

(「第6回真の個性化は、中年期以降に始まる」~「第10回ある年齢で仕事から引退するというイメージを払拭する」を参照)

働く人の年金心得

 厚生年金に加入しながら働くことは、いざというときに役立つメリットがあります。長寿社会を生き抜くためには、一生もらえる公的年金が最大の支えになります。

70歳まで加入できる

 公的年金でもらえる金額を増やすアプローチが、ふたつあります。

 ひとつ目は、「厚生年金に加入する期間を長くして、年金額を増やす」というアプローチです。
 厚年年金には70歳まで加入することができます。

 60歳以降も厚生年金に加入し続けると、厚生年金が増えるだけでないメリットがあります。

 国民年金は60歳で加入期間が終了しますので、大学卒業後に働き始めてから60歳までの年金加入期間だけでは、満額の国民年金をもらえない人もいます。

 国民年金の満額支給40年に足りない分を、厚生年金を払うことで、もらう年金額を増やせる仕組みがあります。

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 ふたつ目は、年金支給開始年齢を繰り下げるアプローチです。

 この制度には、働く高齢者を増やす呼び水になるように、『元気な高齢者に働いていただき、社会保障を支える側に回ってもらいたい』という願いが込められています。

 65歳から後ろに繰り下げて年金を受け取る手続きをすると、繰り下げる1ヵ月当たり0.7%ずつ年金額を増やせます。

 現時点では、最大60ケ月まで年金の受け取りを繰り下げることが可能です。
 70歳まで支給開始時期を遅らせれば、65歳から支給開始のケースに比べて年金額を最大42%増やすことができます。
(詳しくは、第19回「年金でそなえる」を参照して下さい)

節税になる

 さらに、支払った年金保険料は、社会保険料控除の対象で、課税所得から差し引いて税金を計算することになります。
 将来に向けての貯蓄に励みながら、課税所得が少なくなった分だけ所得税、住民税の納税額を減らせます。

 中年期に感じる「暮らし方、働き方、お金の不安」にどう対処して行くべきか考えてきました。

 次回からは、公表されているデータを基に「退職後の生活に『必要な資金』を把握する」という視点で、中年期に感じる不安に正しく向き合う方法を考えます。


山木戸 啓治  Keiji Yamakido

<プロフィール>
上級生涯生活設計コンサルタント
一級ファイナンシャル・プランニング技能士
CFP(日本FP協会)
社団法人 日本証券アナリスト協会検定会員

平成15年より、ファイナンシャル・プランナーに就任し、生涯学習センター・公民館・大学の公開講座などで生涯経済設計の講師を務め、平成16年度・17年度には福山大学経済学部客員教授を兼務すると共に、企業の退職準備ライフプランセミナー、及び地方公務員の退職準備・生活充実ライフプランセミナーなどで講演活動を行う。
平成22年7月に定年退職し、その後も継続してライフプランセミナーの講師として活動中。

山木戸先生へのお問い合わせは、こちらへ

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