トークセッション「地球温暖化、そしてエネルギー革命」@東京調布

 6月15日に、東京都調布市でトークセッション「エネルギーの今、そして未来へ」が行われた。

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 当日は、朝日新聞編集委員の石井徹氏が登壇。環境・エネルギー問題担当の石井氏が、地球温暖化、世界のエネルギーに関する動き、日本の実情などを語った。
 
 このイベントを開催したのは、自然の力で作ったエネルギーで生活することを提案している一般社団法人えねこや。

 同法人は、2019年春に車で牽引して移動できるエコなトレーラーハウス、移動式「えねこや」を完成させて、調布市文化会館たづくり前で展示会を開催した。

 この様子は“得る”Cafeサイトでも紹介している。
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進む地球温暖化

トークセッションの様子

 イベント当日は雨風の強い生憎の天気となったが、調布市文化会館たづくりの会場には、約30名が参加した。

 登壇者の石井さんは、折しも長野県軽井沢で行われていた20カ国・地域(G20)エネルギー・環境関係閣僚会合の取材中だったが、トンボ帰りという強行軍で、講演に臨んでいた。

 石井さんは、まずは地球温暖化について説明していった。18世紀半ばから19世紀にかけて起こった産業革命のころから比べると、世界の平均気温は約1度上昇したという。
 

朝日新聞編集委員の石井さん

 その大きな原因と言われているのが私たちが日々排出している二酸化炭素だ。二酸化炭素は、おもに化石燃料(石炭、石油、天然ガスなど)を燃焼させると発生する。

 実は、日本は、二酸化炭素排出量が世界で5番目に多い国となっている。
 
 このままでは地球環境は危ない、ということで、2015年12月に国連はパリ協定を採択。世界の平均気温の上昇2度未満を目標として、「産業革命前の水準に比べて2度より十分低く抑え、1.5度に抑制する努力をする」とした。

 しかしながら、地球温暖化の進行は止まっていない。二酸化炭素などの温室効果ガスの排出量は増え続けている。

*温室効果ガスとは
 地球を覆う温室効果をもたらすガス。二酸化炭素・メタン・フロンなど。

平均気温1.5度上昇でどうなる

 地球の平均気温が1.5度上昇すると、水や食料が不足して、土地を追われる人が増えるという。

 また、日本でも最近頻繁に起きている豪雨、熱波による健康被害がさらに増加する。

 生態系へは、北極域、沿岸低平地などに住む途上国の人たちや、先住民族の生活に深刻な影響をもたらすという
 さらに、グリーンランドの氷床が溶けるなど、さまざまな被害が予想される。

 もし2度上昇となると、この被害が1.5度のときよりも2~3倍増えると科学者は警鐘を鳴らしている。
 
 問題なのは1.5度を目指すには、時間切れになりそう、ということだ。

「2030年には2度上昇になりそうだ。もう時間はない。ここ数年が大事です。1.5度上昇でも大変なんです」と石井さんは訴えた。

若者が立ち上がった

 地球の環境は厳しい状況になっているが、明るい話題もある。

 ベルギー、ドイツ、スウェーデンなどで、中高生や若者が立ち上がり温暖化対策の強化を訴えた。リーダー的存在の女生徒は、国連で演説し、大きなインパクトを与えた。さらに、ブラジル、カナダでも若者が立ち上がっている。

 残念ながら、日本ではまだ若者の大きなムーブメントは起きていない。
「日本ではまだ市民社会が弱い。声を上げられない社会になっている」と石井さんは指摘していた。

 若者がデモなどの行動を起こそうとすると、親から「就職に影響する」などと止められてしまうこともあるという。

エネルギー革命が始まっている

 一方、地球温暖化への対策のひとつ、再生エネルギーの利用は進展している。

 最近では、再生エネルギーの世界最低価格は約3円/kWhにまで下がったという。
 
 ちなみに、日本の石炭火力エネルギーは、約5~10円/kWh。

 2018年度、日本の再生可能エネルギーの導入状況は、2010年の9.5%から17.4%へと上昇した。

 地球温暖化対策がさらに進むためには、ビジネスとして成立することがとても重要だ。

 技術的に進歩したことで、今では再生エネルギーへの移行が収益性の高いビジネスのチャンスになっているという。

 お金の流れも変わってきた。最近、注目されているSDGs(持続可能な開発目標)の中で、基礎となっているのが環境問題。
 この流れの中で、サステナブル投資、ESG投資といわれる、経済・環境・社会の持続性に配慮した投資へ傾く企業も増えてきた。

*ESG
「Environmental(環境)」「Social(社会)」「Governance(企業統治)」の略。
 
 RE100(「Renewable Energy 100%」の略)という、事業運営を100%再生可能エネルギーで調達することを目標に掲げる企業連合体に、世界の164社、日本企業19社が加盟している。

「ひとりひとり、今何ができるのか考えることが大事」と石井さん

 また、地球温暖化の原因となっている二酸化炭素の排出を防ぐために、化石燃料からの脱却を図る企業も増えている。

 日本でも、第一生命、日本生命が石炭火力への投融資を中止。丸紅は、石炭火力の開発から撤退した。
  
 「エネルギー革命は始まっています」と石井さん。

自然エネルギーを目指して
 
 そして、会場に集まった参加者に次のように語りかけた。

 「個人個人がすぐに自然エネルギーだけで生活するのは難しい。それでも、そういう方向を目指すことが大事です。そして、ひとりひとりが今何ができるのか、考えることが大切だと思います」

 最後に、ノーベル平和賞を受賞したバングラデシュの経済学者で実業家、ムハマド・ユヌス氏によるソーシャル・ビジネスの7原則を紹介していた。

移動式「えねこや」 クリックで拡大

ムハマド・ユヌスの7原則
1、貧困、環境などの問題解決が目的
2、持続可能な経営
3、投資額を上回る回収はしない
4、利益はソーシャル・ビジネスの普及に
5、環境に配慮
6、標準以上の労働条件を提供
7、楽しむ

 「楽しむことが大事です。楽しくなかったら続かないし、広がらない。えねこやさんのトレーラーハウスを作っているところを見に行ったが、とてもワクワクして楽しい感じだった。危機は深いですが、楽しむことから希望をみつけられると思っています」と締めくくった。

一般社団法人えねこやHP

(取材・まとめ a-Nest会長、“得る”Cafe管理人 いとう啓子)


 

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