高校内の“居場所カフェ”についての書籍が発売された。
大阪から始まった校内カフェ。いまでは横浜、川崎、札幌、静岡などに広がっている。それぞれのカフェのできた経緯、ねらい、作り方などがまとめられている。
タイトル「学校に居場所カフェをつくろう!」
出版社 明石書店
本体 1800円+税
判型・ページ数 A5・240ページ
出版年月日 2019年8月1日
全国に広がり、多様な色を持つ校内カフェ
校内カフェ1号店の大阪府立西成高校内の「となりカフェ」をはじめ、得る”Cafe”で紹介している神奈川県立田奈高校の「ぴっかりカフェ」、神奈川県川崎市立川崎高校定時制の「ぽちっとカフェ」、横浜市立横浜総合高校の「ようこそカフェ」など、各地で行われている校内カフェが紹介されている。
それぞれのカフェが違う経緯やねらいで作られているところも興味深い。それぞれの経緯を経て、学校というきっちりとした城の中にゆるやかな異次元の空間を作っている。
カフェでは、生徒たちが親や先生とは違う大人、違う学年・クラスの子に出会い、新しい視点、考え方などにも出会っていく。
さらに、悩みを抱える子どもたちもゆるい空間の中で自然と心を開き、支援する大人とつながっていく。
苦労も多いカフェづくり
筆者はぴっかりカフェの見学に行ったことがある。団体生活の中で規律を押し付けられる教室とは違う、オアシスのような空気感は今でも忘れられない。
私の時代にも、このようなカフェがあったらと羨ましく思ったくらいだ。私にとっても、学校はとても窮屈な場所だった。
とはいえ、いいことばかりのように見える校内カフェだが、公立高校内ということで、開設や運営には困難も多い。
同書では、さまざまな難しい問題をどう乗り越えて、どのようにカフェの運営を続けているのか、学校との連携、資金調達、広報やマネージメントなどについても書かれている。
学校の「コリをほぐす」
教育改革と言われて久しいが、学校全体を一気に変えることは難しい。
ならば、校内にカフェを作り、内部に新しい細胞を作ることで、変化を呼び込もうとしているのだろう。
同書内で、日本大学教授の末冨芳先生は下記のように書いている
「カリキュラムや教育方法を変えるのではなく、新しい別の文化をささやかに学校の片隅に持ち込みながら少しずつ「コリをほぐす」、そういう居場所カフェのストラテジーが、私はとても好きだ」(220ページ)
学校や教育関係者、校内カフェ、地域の居場所つくりに興味のある人だけでなく、学校のあり方に疑問を持っている人、不登校問題に関心のある方にもおすすめしたい。
(まとめ・a-Nest会長、得る”Cafe”サイト管理人 いとう啓子)
★得る”Cafe”の記事
・学校図書館がコミュニティ空間へ 神奈川県立 田奈高校「ぴっかりカフェ」
こちらへ
・「マインドはロック!」 学校図書館にぴっかりカフェを作った松田ユリ子さん
こちらへ
<講演・イベント情報>
●第三の大人のおせっかいで若者が元気になる?!
~ぴっかりカフェとcafe4610(よろっと)の
高校生の居場所づくり~
NPO法人パノラマ代表の石井正宏さんが登壇する。
日時 2019年9月15日 14:00~16:00
会場 新潟大学駅南キャンパス
ときめいと「多目的ホール」
(JR新潟駅3分)
参加費無料
申し込みは suppo.wakamono.osekkai2015@gmail.com へ
詳細はチラシを参照
主催 若者応援おせっかいサポーター
共催 NPO法人ワーカーズコープ
●「学校に居場所カフェをつくろう!」出版記念イベントin ヨコハマ
ぴっかりカフェの作り方
校内居場所カフェができる学校、できない学校
日時 2019年9月29日 17:30~20:30
会場 神奈川県立地球市民かながわプラザ大会議室
JR根岸線 本郷台駅 徒歩3分
参加費 500円(資料代)
*書籍「学校に居場所カフェをつくろう!」(明石書店)の当日販売あり。
NPO法人パノラマの石井さん、田奈高校学校司書の松田ユリ子さん他、ぴっかりカフェの関係者が登壇する。
申し込みは npo.panorama@gmail.com へ
詳細はチラシを参照
主催 NPO法人パノラマ