第23回「老後資金」対策:年金受給額を「知らない」!?

50代、自分の受け取れる年金受給額を「知らない」が6割超

 日本銀行が2019年3月に行った調査で、50代の62.6%の方が受け取れる年金額を『知らない』と答えています。

 この調査結果は驚くべきことです!「受け取れる年金」を把握できていないのならば、年金に加えて必要となる「老後資金」が分かるわけがありません。
(グラフを参照)

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(出所)金融広報中央委員会「金融リテラシー調査」(2019年)

日常生活での「不安や悩み」を知る

 内閣府「国民生活に関する世論調査」から、50代の方の日常生活での「悩みや不安」の内容がわかります。

 日常生活での「不安や悩み」では、女性で69.5%、男性で66.5%の方が「老後の生活設計」と答えています。
 「自分の健康」よりも高くなっています。(グラフを参照)

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 男女共に50代になると「老後の生活設計」への不安や悩みがピークに達していることがわかります。

65歳から受け取れる年金額を探る

 厚生労働省は「2017年度公的年金財政状況報告」に、「厚生年金加入期間25年以上の方の平均年金月額(注:基礎年金を含む)」を公表しています。

 これには、民間企業サラリーマンであった方が、65歳以上になって受け取っている平均的な公的年金月額が示されています。

 このデータから、民間企業サラリーマンの専業主婦世帯、共働き世帯の年金額を推測します。
(出所)厚生労働省 公的年金財政状況報告 第2章86ページ

●専業主婦世帯の年金額
 民間企業サラリーマンであった男性の平均年金月額は、173,893円です。
 専業主婦の方が、昭和60年以降の第3号被保険者制度で国民年金に40年間加入して、満額の老齢基礎年金月額65,008円の支給を受けると、専業主婦世帯の合計年金額は238,901円と推測できます。

*平成31年4月分から支給されている年金額780,100円(老齢基礎年金満額)の1か月分が65,008円。

●男女雇用機会均等法施行以降の共働き世帯の年金額
 特に1999年の改正法施行以降では、女性の雇用条件等は男性と同等になったと考えられます。
 共働き世帯の平均年金額は、男性の平均年金月額173,893円の2人分合計の347,786円と推測できます。

 毎年公表されている「公的年金財政状況報告」から、サラリーマンの単身世帯、専業主婦世帯、共働き世帯の平均年金月額が推測できます。

老後の生活設計の中での公的年金の位置づけ

 「老後の生活設計と公的年金に関する世論調査(平成30年度内閣府:全国18歳以上の方を対象)」で、老後の生活設計について「考えたことがある」と答えた方は67.8%です。
 
 「考えたことがある」と答えた方に、老後の生活設計の中で、公的年金をどのように位置づけているか聞いたところ、下記のような結果となっています。

* 「全面的に公的年金に頼る」と答えた方の割合が23.0%
* 「公的年金を中心とし、これに個人年金や貯蓄などを組み合わせる」と答えた方の割合が55.1%
* 「公的年金にはなるべく頼らず、できるだけ個人年金や貯蓄などを中心に考える」と答えた方の割合が15.5%

 老後の生活設計を考えたことがあると答えた方の中で、88%の方が公的年金に「頼る」、あるいは「中心とする」と答えています。

 老後の生活設計を考えたことがある方にとって、生きている限り必ずもらえる公的年金を「老後資金」の中心にしたいという思いがあります。

 その思いに添う解決策は、70歳まで厚生年金に加入して働き、年金額を増やすことです。同時に、70歳まで年金の繰下げ受給を選択することも解決策となります。(お金の不安編「第12回」を参照)

 その際に、働く側に求められるものは働く期間が長くなる中で、仕事で身に着けた経験やスキルを活かし続ける意識です。

 2019年6月21日に、政府は「成長戦略実行計画」を示しました。人生100年時代を迎え働く意欲がある方が、能力を十分に発揮できるよう、活躍の場を整備することが必要だとして「70歳までの就業機会確保」が盛り込まれました。

 次回は、「70歳まで働き続けて解決できること」について考えます。


山木戸 啓治  Keiji Yamakido

<プロフィール>
上級生涯生活設計コンサルタント
一級ファイナンシャル・プランニング技能士
CFP(日本FP協会)
社団法人 日本証券アナリスト協会検定会員

平成15年より、ファイナンシャル・プランナーに就任し、生涯学習センター・公民館・大学の公開講座などで生涯経済設計の講師を務め、平成16年度・17年度には福山大学経済学部客員教授を兼務すると共に、企業の退職準備ライフプランセミナー、及び地方公務員の退職準備・生活充実ライフプランセミナーなどで講演活動を行う。
平成22年7月に定年退職し、その後も継続してライフプランセミナーの講師として活動中。

山木戸先生へのお問い合わせは、こちらへ


 

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