第26回「老後資金」対策: 実は心配しなくてもいい!?

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 ゆとりある老後生活のために必要な資金は“5千万円”!
 老後の資金計画を考える記事にある大きな金額に、驚かされることがあります。
 果たして、シニアライフに必要な資金はいったいいくらなのでしょうか? 
 一緒に考えてみましょう。

退職後の家計収支の変化を確認

 退職前の家計は、給与収入が中心です。その中から生活に必要な費用と、ゆとりのための費用をまかない、余剰分を貯蓄します。
 退職後は、年金収入を中心に生活必要費用をまかないます。

 このことはだれでも知っていますが、問題は年金収入だけでは、ゆとりある老後生活は難しいということです。
 ゆとりある老後生活を送るためには、ライフスタイルに応じて退職金、積み立てた貯蓄を取り崩していくことになります。
(図1を参照)

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2000万円問題への疑問

 老後生活期間を30年と仮定します。30年間で、公的年金等の実収入だけではカバーできない生活費の合計額を考えてみました。

 昨年、話題になった「老後2000万円問題」は、金融庁から毎年公表される家計調査年報の「月間の不足額」のデータから提起されました。このデータから、公的年金等の実収入だけでカバーできない老後生活費を計算していました。

 直近5年間で、家計調査年報の高齢夫婦無職世帯の「月間の不足額」を調べてみると、最大の不足額は2015年度の62,326円で、最小の不足額は2018年度の41,872円となっています。

 30年間で必要となる「老後資金」は、最小値で約1507万円から最大値で約2243万円と、その差額は736万円となっています。これ程の大きな差異が発生する原因について、明確な分析結果は示されていません。

 私は、サラリーマン世帯の老後資金の平均的な不足額を算出したものとしては、数字のブレが大きすぎると考えました。

不足分は退職金でまかなえる!

 そこで今回は、総務省統計局の「全国消費実態調査(平成26年度)」のデータから、公的年金だけの収入ではいくら足りないのかを探ってみました。
 ここでは、老後生活期間を30年と仮定します。30年間で、公的年金等の実収入だけではカバーできない生活費の合計額を考えてみました。

 図2「高齢無職世帯の実収入及び消費支出の構成でみる月間家計収支」で、預貯金等から補填している月額は34,099円となっています。
(注)高齢世帯とは、二人以上世帯のうち世帯主の年齢が65歳以上の世帯

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 この月額34,099円の30年分は、約1230万円になります。
 34,099円×12ヶ月×30年=12,275,640円
 つまり、老後生活期間30年に預貯金等から補填する金額の合計は、約1230万円と考えられます。

 また、単身者で考えますと、男女で若干の違いがあります。
 高齢無職単身の女性世帯の月間家計収支で、預貯金等から補填している月額は31,992円。(図3参照)
 単身女性世帯の老後生活期間30年に預貯金等から補填する金額の合計は、約1160万円です。

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 高齢無職男性世帯で見ると、月間家計収支で預貯金等から補填している月額は30,231円。(図4参照)
 老後生活期間30年に預貯金等から補填する合計は、約1090万円です。
(注)高齢無職単身世帯とは、65歳以上の単身世帯のうち無職世帯
 (総務省平成26年度の全国消費実態調査「高齢無職単身世帯の男女別家計収支の構成」より)

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 このように総務省統計局の「全国消費実態調査」のデータを基に考えると、それほど悲観しなくていい数字がでてきます。

 30年間のシニアライフを想定し、公的年金等の実収入だけではカバーできない金額は、約1090万円から約1230万円程度と計算できるからです。
 約1090万円から約1230万円の金額は、勤続35年以上の平均退職金1954万円(注)でまかなえる範囲の金額です。

  退職金を少しずつ取り崩していけば、赤字にはならないはずです。

(注)厚生労働省「平成30年就労条件総合調査」退職給付の支給実態
表24 勤続35年以上高校卒(管理・事務・技術職)より 

 このデータを基に、平均的な老後生活を考えれば、「5千万円」の資金を準備しなければ貧困に陥るということはなさそうです。
 次回は、なぜ老後の資金計画を考えるサイトなどで「ゆとりある老後生活のために必要な資金は5千万」と表示するのか、そのわけを考えてみます。


山木戸 啓治  Keiji Yamakido

<プロフィール>
上級生涯生活設計コンサルタント
一級ファイナンシャル・プランニング技能士
CFP(日本FP協会)
社団法人 日本証券アナリスト協会検定会員

平成15年より、ファイナンシャル・プランナーに就任し、生涯学習センター・公民館・大学の公開講座などで生涯経済設計の講師を務め、平成16年度・17年度には福山大学経済学部客員教授を兼務すると共に、企業の退職準備ライフプランセミナー、及び地方公務員の退職準備・生活充実ライフプランセミナーなどで講演活動を行う。
平成22年7月に定年退職し、その後も継続してライフプランセミナーの講師として活動中。

山木戸先生へのお問い合わせは、こちらへ


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