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一般社団法人kuriya代表 海老原周子さん

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【カテゴリー:多文化共生】

「外国にルーツのある子どもたち若者たちの可能性を、アートを通して引き出して、社会に送り出したい」

こんな内容です…

  • 在住外国人の高校生向け映像ワークショップから始まった。
  • アートを通して人を育てる。
  • 多様性を管理するより、違いを引き出し活かすという視点で。
  • 移民の若者たちのそれぞれの物語を発信したい。
  • 『違いが豊かさになる社会』を目指して。

一般社団法人kuriya代表
海老原 周子 (えびはら しゅうこ)さん

撮影:村田冬美

プロフィール
一般社団法人kuriya代表。ペルー、イギリス、日本で多様な文化に囲まれて育つ。慶應義塾大学卒業後、国際交流基金や国際機関で勤務。2009年に移民の子どもや若者を対象としたアートプロジェクトを立ち上げ、多様な人々が集う場づくりを行う。2014年からは若者に焦点をあてダイバーシティ人材の育成にも着手。2015年度エヌエヌ生命社会起業塾参加。2016年にEUの主催するGlobal Cultural Leadership Programに日本代表として選抜される。

在住外国人の高校生向けの映像ワークショップから始まった。

まずは、過去に活動していた新宿アート・プロジェクトを始められた経緯を教えてください。

「(独)国際交流基金に勤めていた際に海外に日本の文化を紹介する仕事をやっていました。足元を見たときに、外国にルーツのある子どもたちがたくさんいて、そういう子たちこそ、これからの国際交流を担う人材だと思いました。

 2009年当時は、外国人というとゴミの捨て方が分からないとか、日本語が不自由など、どちらかというと『問題』として受け止められていたように感じます。ただ外国にルーツのある子どもたちと接した時に、家庭環境や、経済的な困難は抱えているかもしれませんが、彼らにいろんなポテンシャルがあると感じました。

 ちょうどその時、社内で新規事業の公募制度があり、新宿区に住む在住外国人の高校生と日本人との交流事業として映像の共同制作プロジェクトを提案したことから始まりました」

当時の活動場所は東京新宿ですね。どのような人が集まったんですか?

「東京だとアジア系の人が多かったです。中国、フィリピン、タイ、ミャンマー、ベトナムの参加者もいましたし、日本の子どもも一緒に参加しました。新宿区内の児童館をはじめ、学校やNPOなどと連携して実施しました」

どのようなワークショップだったのですか

「ダンスや写真、映像など様々なジャンルのアーティストを招いて行います。映像のワークショップでは、20人くらいを3グループくらいに分けて、いくつかテーマを与えて共同で映像を制作します。町に繰り出し、思い出の場所について撮ってきたり、楽しみながら映像でいろんなことを表現する楽しさを体験をしました。

 彼らには日本人の同世代の友達をはじめ、学校の先生や親以外の大人とのつながりを作る機会が少ないように思います。私たちは、ワークショップを通じて、普段の生活では出会えない人たちとつながる関係性をつくっているとも言えます」

年齢的にはどのくらいの方を対象としていたのですか?

「主な対象は中高生でしたが、次第に小学生から社会人まで幅広い年齢の人たちが集まるようになりました。特に、外国ルーツの中学生や高校生の中には、小さい妹や弟の世話をしなければならない人もいたんです」

海老原さんは、いきなりワークショップのコーディネートをされたわけですが、難しくなかったですか?

「(独)国際交流基金時代にも様々な事業をコーディネートをする機会がありましたので、特に難しいと感じたことはありませんでした。また、ファシリテーション基礎のトレーニング講座なども受けた経験があったことと、中学時代に通っていたイギリスのインターナショナルスクールでは、対話型・参加型の授業が行われていたので、実体験に基づくイメージがあったので役立ちました」

生きづらさより、固定された“枠”の中で窮屈な子どもたち

ワークショップに参加した人からの感想はどんな感じだったのですか? 外国人の子どもたちは、いろんな困難を抱えていると思うのですが、彼らからの反応はどうだったのでしょうか?

「色々な方から“生きづらさを抱える外国人の子どもたち”と接していますねと言われます。でも私は、生きづらさは本人の問題というよりもより、環境の方に課題があるのではないかと感じています。

 例えば、外国人であるが故に、日本社会の中で大多数である日本人と比べると弱者として扱われやすい。そのため多数である日本人と少数である外国人の間に「する/される」という上下関係が生まれやすい。

 また『難民の』とか『外国ルーツの』といった『外国人』という枠のみで扱われる。いつも枠が固定されている中で、生きづらさという点もあるのかもしれませんが、もしかしたら窮屈なのかもしれません。

 アートワークショップの参加者に振り返りのインタビューをすると、いつも出てくるのが『ここに来ると素の自分でいられた』という言葉です。何かに押し付けられた形だったり、自分が外国人だからこう振舞わなきゃという形ではなくて、“素”の自分でいられるのがすごくよかったと言います」

アートを通した人材育成

海老原さんたちは、アートをツールにしているわけですが、アートをどのように考えておられるのですか?

「私たちにとってアートは、一緒に創造的な活動をすることで、人とつながったり、学校以外の学びを得たりする人材育成の手段として有効性があると感じています。

 よく言葉が不自由な中で、自己表現のツールとしてのアートとも言われますが、私たちは、自己表現すること自体も本人の選択次第だと思っているので、ワークショップでそれを強要することはしません。むしろ自己表現する段階までいくにはすごく時間がかかると思っていて、そのプロセスを丁寧に作ることが大切だと思っています。

 初対面で一緒に映像作ってみよう、自己紹介の映像を作りましょうと促す中で、それを通じてお互いのことを段々知っていく。「教える」「教えられる」という関係ではなく、対等な関係性を育みやすく、かつ楽しく作業できるような場をつくるところから始まります。

 その点はアート作品をつくるというよりも“場”をつくっているのかもしれません」

すごく興味深いと思いますが、少し分かりづらいところもありますね。

「よく分かりづらいと言われます。例えば、学校の勉強はできないけど、ダンスはすごくうまい子がストリートダンスのワークショップをすると、上手なので年下の子に教えたりします。ミャンマーやフィリピン、日本、中国などルーツに関わらず、ダンスが好きだからと、ダンスを通じて人とつながったりします。

 また共同作業で役割分担をする中で、縁の下の力持ち的な子もいれば、年下の子の面倒をみるのが得意な子もいる。誰しも何かしら得意なことがある。そういうことに気づく場にもなっていると思います。

 私たちは、自分で考えて自分で何かを生み出すということをすごく大事にしています。例えば学校の場だとどうしても点数をつけられますが、アートには正解があるわけではなく○×で評価をつけられない。むしろ自分で答えをつくりだすという側面があると感じています。」
2ページ目に続く…

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