一般社団法人kuriya代表 海老原周子さん

楽しかったネパール地震の復興チャリティイベント

今まで、すごくうまくいったワークショップはありますか?

「ワークショップには2つのやり方があります。ひとつは、アーティストを呼び、若者や子どもが参加者として行うパターン。もうひとつは、参加した若者自身が作り手側になって、ワークショップを自分たちで運営するパターンです。この場合はアーティストはアドバイザー的に入ります。

 後者の形で、ネパール人学校でネパール人の若者が小学生向けに葉書に水彩で絵を描くワークショップを美術の時間に行いました。

 数年前に起こったネパールでの震災を受けて、チャリティ支援活動みたいなことをネパール人学校で行っていました。そこで、絵を描いた葉書をポストカードにして売ったり、葉書に手紙を書いて現地の学校に送ったりするなど、何かチャリティ活動に協力することができたらというネパール人の若者の思いがきっかけです。

 このイベントを実施するにあたって、チームを組まなければならなかったのですが、そのときのチームも多国籍で、台湾の留学生や、フィリピンルーツの若者、日本人もいました。ネパール人の若者が全体の企画をして、ファシリテーターとして教える側に回りました。ファシリテーターとして3人くらい入って、チームでやっていきました。

 自ら企画して準備から実施までやると、チームビルディングから会場の交渉、調整能力と、いろんなスキルを身につけることができます。それは、とても実践的なスキルです。それぞれの強みを生かしてつくりあげていく様子を見ていてもとても面白かったですし、何よりも参加した子どもたちも楽しそうでした。

 アーティストを招いたワークショップで面白かったのは、ストリートダンスとパーカッションです。夏休みにダンスとパーカッションのワークショップを10回ほど行い、秋の新大久保のお祭りで発表するというスケジュールで行いました。参加者は、下は小学校1年生から、上は社会人までいろんな人が参加しました。

 この参加者の中には、先ほどお話しした普段は目立たないけど、ダンスがすごくうまい子がいたり。あとは、普段はおとなしいが、パーカションを叩くのが好きな子がいたり。子どもたちのいろんな側面が見えました。ストリートダンスはある意味とても素直で自由です。楽しさやリズムがあるから踊ろうという感覚なんです。

 例えばバレエだと、あらかじめ振り付けや型が決まっていますが、ストリートダンスは色々な動きやステップを組み合わせて、いろんな音楽を取り入れられる。クラシックでもヒップホップでもいいし、音楽を使わなくてもできたりとすごく柔軟性がある表現で、多様性を取り込みやすいと思いました」

学校でもワークショップをやっているのですか?

「茨城のブラジル人学校や、東京のネパール人学校や、都内の定時制高校でやりました。日本の学校でも展開できたらと思っています」

kuriyaを設立。コンセプトを固める

2016年にkuriyaを設立されたわけですが、今までと活動内容は変わるのでしょうか?

「これまでは、みんなで楽しく集まるという形で、アートワークショップをやっていました。でも、参加者に何を届けたいのか分かりにくいところがありました。2014年~2015年はもう一度、私たちは何をしたいのかを考えた年でした。

 そして、新しい一般社団法人kuriyaは、若者の人材育成をする団体ということに決めました。人材育成の手法として、いろんなアート活動だったりとかやクリエイティブな手法を取り入れます。

 対象者は、義務教育年齢以上の16歳から26歳くらいまでの若者です。中でも特に、ニューカマーといわれる来日して2~5年くらいの移民の若者を主なターゲットとしています。

 もちろん、日本人の若者や子どもも参加できますし、日本生まれの外国人の若者、子どもも参加できます。場所もこれまでは新宿だったのですが、東京をベースに、香港やマレーシアなど、海外の若者支援の団体とも組んでいろいろプロジェクトも始めています」

なぜ年齢を絞ったのですか?

「2013年あたりから、高校を卒業した後の18歳以上の若者や高校生の参加者が増えてきました。理由を考えた時に、その年齢層に対する支援が少ないことに気がつきました。外国ルーツの子だと、高校に入学するまでは学習支援等がありますが、高校に入学した後のサポートがあまりないと感じました。なんとか高校を卒業したとしても、その後に続く道がないと感じ、彼らに集中していくことにしました」

kuriyaのコンセプトは?

「人は成長するために、たくさんのことを学んでいきます。そのために本を読んだり、勉強したりしますが、それは学校や自分自身でもできます。

 同時に、誰かに出会うとか、色々な体験を通じての学びも大事だと思うので、私たちはいろんな体験や、いろんな人とのつながりをアートを通して提供していきたいと考えました。

 最初の2009年から5年間くらいは、とにかくたくさんワークショップをやって、体験を提供しつながりを作ってきました。その中でこれまでの活動が何を提供しているのか、ただアートワークショップをしているわけではないという葛藤がありました。

 具体的にどんな価値を提供しているのか考えた時に、実はやっていることはイベントやアートワークショップを通じて、人材育成をしてきたんだと思い当たったんです。そこで、これまでの経験をベースにして、新しく法人という形でやっていこうと思いました」

kuriya というネーミングの由来は?

「友人が提案してくれました。彼女も中国から幼少期に来日しました。kuriyaは『厨(くりや)』で、キッチンという意味です。若者を食材として捕えて、それぞれのうまみを引き出して、おいしい食事として社会に送り出していくという意味あいがあります。それぞれの若者たちが持っている違いを力に変えて、自らの手で未来を切り開く人材として社会に送り出したいと思っています。

 それから、kuriyaのロゴは、たんぽぽの綿毛を意味しています。kuriyaという場所で何かを得て育っていくけれども、ずっとその場に留まるのではなく、むしろそれぞれが何かしらを身につけ育成された人材として、たんぽぽの綿毛のように飛び立ち、それぞれの場で花開かせてほしいと思っています。今、スタッフとしても関わってくださっているデザイナーの人が作ってくれました」
3ページ目に続く…

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